AKILA's えgo

音楽、ドラム・・・のんべんだらりと気になった事上げとります。

微妙な体感気温

寒くなったとは言っても、暦的には秋ではあるんだよな。
まァ気温の下がり方があまりにも急だったってのもあるから、そう感じてるだけっていう部分も無きにしも非ず。

今回、秋という言葉でふと思い浮かんだのがこの歌。
そーいやこんな替え歌してたよなァ、と。

ま~た髪の話してる。

シルキーな感じは好きだが

最早収集というのは病気の類。
ちょっと前に、「デカいシンバルが欲しいな」という衝動が湧いたので(笑)、色々と探し回って目を付けたのがコイツ。

MEINLのPURE ALLOYシリーズ、22 Medium Ride。
ドイツ産パーカッションメーカーとして知られるMEINLだが、シンバルもそれに比肩して認知されている(日本ではこの十年近くで漸く正当な支持を得る様になった感じ)。

フラッグシップシリーズであるBYZANCEはトルコ製となっており、そこに並ぶ母国製造のシンバルをという標榜の下生まれたのが、PURE ALLOY。

とは言っても、このシリーズは誕生してから10年も経っておらず、当初はラインアップも乏しかった。
ここに至るまでに、薄目のデザインを主軸としたPURE ALLOY CUSTOMを含め、様々なモデルが加わり、漸く広く選択が可能な状態に整った感じがある。

実はこのPURE ALLOYに関しては、既にハイハットを一つ所持しており、そのハイハットに於いては好感触だったってのもあり、今回シンバルセッティングの基幹の一つとなるライドはどうかと思い入手。

PURE ALLOYはThinかMediumのどちらかを厚さ選択できるが、オレとしてはライドでThinは先ず考えとして無いので(笑)、Mediumを選択。
22インチはやっぱり低域のうねりが含まれるのが魅力。重量級になると硬質な響きと倍音のバランスにより強力なピング音が表出するので、この大味感がオレはサイズとして好きな点。

勿論20インチも、サイズ由来の引き締まりが出る為それもまた魅力となるが、場面として使えるんだったらやっぱり22インチだね。

で、
今回スタジオで試してみたんだが、まァ想定通りの鳴りかな、と感じた。

PURE ALLOYは粒立ちは小さめで、中高~中低域が軸となりあまり音量感が目立つシリーズではない。
ただ、音の響きは涼やかというか、シルキーな耳障りで心地よく、透明感のある鳴りが最大の魅力だろう。

今回のライドはその感触を体感出来る典型のシンバルと言える。
ボウ部分は正にそんな感触で、スティックとしてはボールチップよりもティアドロップチップの方がその繊細さがよく味わえるんじゃないかと思った。
Mediumと言ってもそんなにぶ厚いわけでは無いため、エッジ部でのクラッシュも容易に反応してくれる。
そんな作りでもある為、カップ部も小さめの仕上げをされていて、音の突き抜け感も控えめ。

前回、所持しているSoundwave Hihatsの時も思ったが、このシリーズは、PAISTEの602 Modern Essensialsに近いものがある。
流石に、アレと比べると煌き感は一歩及ばないが、それでもシルキー感は通じるところがあり、BYZANCEとは一味違ったキャラクターを上手く持ち込んだなと感じるね。

ただ、今回試してみた感じとしては、広い部屋で音量を出す演奏となるとピング音の通り辛さが引っ掛かるかな?と思った。
繊細で透明感のある鳴りではあるが、裏を返すと重厚感が伴わない響きである為、パワープレイで聴かせるにはちょっと物足りなさは出てくるかなと。

まァ今回一回試しただけだし、真価はまだまだ判らん。
今のところはスタジオメインでの使用に留まるが、もしかしたらフルセッティングで揃えて使う事を視野に入れる可能性も。

いや、流石にソレはやり過ぎか(苦笑)。
ただ、クラッシュはアリかもな、この鳴りなら。
18、19辺りだったら、期待できる響きを提供してくれそうだ。

そうそう、この間稼働させたTAMAのLST146Hも今回一緒に試したが、やはり広い部屋でその真価が見えた。

高域と低域の通り方が良い太さでまとまった鳴りをしてくれ、明らかにデフォルト仕様とは違った音であり、好みの音として響いてくれていた。

正直、コレだったらMEISTERでも全然使って良いな。
ま、実際コイツはMEISTER以外のバンドでの使用を視野に入れているんで、一先ずこの状態でライヴ使用という日の目見れるかって事になりそうだがね。

やりたいようにやっていくのみ

2日前になるが、MEISTERでのライヴをやってきた。

もう最近は年一回で恒例となっている感じの、野外ライヴ。
通例の日程であれば、、ベースが参加できないというのを去年から前もって知らされていたが、今年は連休日に開催するようにズレ込んだので、偶々出演可能となった。

ま、今年MEISTERはバンド結成20年目というにも関わらずライヴ自体はここまで7月のみという状態だったんで、野外ライヴでの面子も何となくいつもの感じで固まってやや倦怠気味にもなってきていたが、それでも参加の声かけてもらえてるのは有難い事だし、数少ない今年のライヴの場面を獲得するという意味でも、こなしてはおきたい(別にライヴの本数を多くこなせりゃ良いってワケでもないが)。

一応名目上では、バンドでは正式な曲として判定されなかった、いわばアウトトラックとなっていた曲を、今のこのバンドで復活/完成させたという事で初披露の場と銘打つ事にしていた。
ギターからこの曲を聴かせてもらった時に、個人的には良い曲だと思ったので今のバンドのレパートリーに加えようと提案したのがきっかけで、曲調としては今回の野外のような開けた場所にはかなりマッチするものでもあったので、今回ベース考案のセットリストを軸に加えて臨んだ次第。

しかし、ホント天気が信用できねェ。
当日の一日前まで晴れ時々雨という予報だったので、「まァ、大丈夫かな」と多少の疑念は抱く程度だったのが、日付変わった途端に予報が曇りのち雨(しかも降水確率そこそこ高い)となって、思わず「はぁ?!」と唸ってしまった(苦笑)。

演奏する場所はもう山の中と言えるので、山の天候は更に予測ができないというか荒れ模様になる可能性が高いので、こりゃあ去年の様になるか、下手すりゃ今度こそ演奏中止になるんじゃないかと気を揉まされた。

実際3バンド目辺りで雲行きがいよいよ怪しくなり、オレらの一つ前のバンドの機材転換時に降り始めた時には、「あーこりゃあダメかもな」と諦めかけたが、5分程度してから雨は止み始め、以降は晴れ間も見え始める程に好転していき、最終的に良い天気でイヴェントは終了できた。

とは言えど、オレらの前のバンドの演奏時は予断が許されない状況だったので、彼らの時は機材やモニターにカバーがかけられた状態だったし、オレもドラムキットの上にテントを張った状態で演奏と相成った。

その点は残念だった。
今回、折角日の目を見る事になった曲を披露する機会を得たライヴだっただけに、録画機器も持って来ていたんだが、今回の様な不安定な天候ではいきなりの雨で機材がやられる可能性があったので、ソレは避けたかった為断念した。

ま、オレ個人の演奏はとても納得のいくものになっていない感触だったので、正直録っておかなくても良かったかとは思ったが(笑)。

そんな中で、少量ではあるが写真を撮ってくれた方が提供してくれたので、こちらでも僅かながら上げておく。

 

最後のは集合写真だが、こんな感じで演奏した形跡を残して提供いただけたのは有難い。
大抵、そーいう撮影係とかを呼んだりする事はないからな。
それはこのバンドのメンバーがそうだし、オレ個人としても滅多に呼んだりするつもりはない。

オレらみたいなオリジナル曲を演奏して活動しているバンドって、セットリストの変化が少なかったりするし、呼ぶ以上は撮影してくれる人も客の一人として楽しんでもらいながらってのが前提となる。

妙に考え過ぎなのかもしれないが、客を呼ぶ以上はそこを当然踏まえながら不特定の他者も相手して納得させるくらいのライヴを提供するのが、ステージに立って演奏する者としての最低限の心構えだというのが持論。

そーいうので人を引き付けて巻き込むという現象を作ってきたのが、所謂メジャープロの演奏者たちなのだと言ってしまえば、判りやすいだろう。

ま、オレらの様な年齢となると、一般大衆ウケを狙った音楽をというより、自分が影響を受けた音楽を基に、ここまで形成した自分達の音を出して各人の持つグルーヴを折り合わせてバンドという単一性グルーヴへと昇華させる事が大事となる。

つまり、それぞれが自分らしい音を出して自分達ならではの音楽を演奏するって事。

名前を認知させて存在を大きく見せていくってのは確かに魅力で、できるならばそうしたいってのが正直なところ。
でも、それによって自分が一番好きに表現したい演奏から遠ざけてしまうのは間違い。
本気でビジネスとしてその道へ進みたいなら話は別だが。

寧ろ、アマチュア領域ながらキャリアを積んできた面子となっているからこそ、自分達が出したい音でバンド演奏する事の面白さを噛みしめる事が出来る。

この野外イヴェント終了後に、今回のメインであるメンバーだけでの焼肉打ち上げ(笑)の席でも、久々に色々と話し合ったが、まァ結局のところ今のまま活動していけば良いという話に終始した。

人前に立ってその中の不特定の人間たちを引き込むというのはバンドマンとしての目的の一つではあるが、何よりもバンドメンバーが自分達でその音楽を演奏する事を楽しんでいなけりゃ意味が無い。

自分達を本当に高めようとするのなら、コピーバンドではなく、オリジナルバンドである必要がある。
そこは演奏技術がとか、そーいうものでは絶対にないからな。
コピーしている時の演奏の方がオリジナルより良いなんて思われるのは、屈辱だろうよ。
だからこそ、オリジナルでやるならコピバンでやっているもの以上のものを生み出してやろう、という気概の下での結託力が必要。

ボチボチ、この野外イヴェントの有り方に関して物言いしたい部分が出てきたってのも打ち上げの際に浮上してきたが、まァ言ってもMEISTERは呼んでもらえるなら出ますよ、というスタンスでやっているんで、そこは運営側の人間達が、そろそろ外部から出ている空気を察知すべき事。

そこを踏まえた上で個人的に思う所があったんでダラダラと書いちまったが、ともかくオレ個人としては今以上にテメェで考えるドラミングのレヴェルを押し上げれる様に努めていければとは思っている。

そこはもうMEISTERとしてという以前に、自分自身がメタルドラマーであると自負できる域に達したいという考え。
そーいうオレがバンドの一角に居るからこそのMEISTERの音楽である、と言えるようにね。

 

2025.11.2 四王寺ROCK FESTIVAL 2025

~MEISTER Set List~

1.SURVIVE
2.PRIVATE RIDER
3.RUNNING WITH MADNESS
4.SOUL TAKER
5.ESCAPE
6.PRIDE

 

思ってもみない方向へ

4ヶ月以上前からスネアのヘッド交換しようと思い、ようやっと実行するに至った。

実際、ヘッドは早い段階で入手していたんだが、試す機会に全然恵まれなかった。
一番の原因は実は天気だったりして、今日こそはという時になっていきなり天候崩れやがって(苦笑)。お陰で持ち運ぶ気を失わせ、テメェで立てた予定がことごとく空振ってしまっていた。

まァそんな恨み節なんてどうでもいい。
ヘッド交換する対象スネアはコイツ。

TAMAのLST146H。
写真は既にヘッド交換となっているものだが、以前に装着していたのは打面がEVANSのSuper Tough DRYで、裏はTAMA純正スネアサイド。スナッピーはCANOPUSのVintage Snare Wire42本ドライタイプ。

入手時の、いわばデフォルト仕様での鳴りって、チューニングをハイピッチにすればするほど中音域を持ち上げる形になり、意外と突き抜けるよりも詰まった感じの聴こえ方をしていた。
ただ、速いパッセージのドラミングになると、その中音域での詰まり具合が効果を発揮し、通常なら音が細くなりなそうなところが全然落ちた感じがないという、叩き手側からするとワクワクする鳴りが浮かび上がる。

この辺り、このLST146HのスネアがというよりもTAMAのスネア全般に言える事で、メーカーとしてのスネアの特性がそこにあると言える。
勿論、各シリーズのそれぞれのシェル素材によって浮かび上がる響きは変わるんだが、大枠でそんな感じなんだよね。

上述したヘッドやスナッピーに変更した時も、高域の抜け方は若干上がった気はしたが、大枠での主張どころはそこまで変化してなかったかなと。
ま、それらを装着した理由も、それぞれに元々装着していたスネアに色々とあった為取り外したものの、何となく勿体ないなと思ってこのスネアに試しに装着してみたんだよね。
このスネアは今年入手した、自分にとっては新しいスネアなので、使用する方面は限られているが、スネアとしてはまだ遊ぼうと思っている為、主にヘッドを交換して鳴りの変化がどう出るか試してみたいってのがある。

そんで選んだのがこのヘッド。

ASPR(アサプラ)のS2-HCと、HC-075S。

ASPRは日本製のヘッドメーカーで、ASPRというオリジナルブランドとして販売するようになったのは2010年からなのだが、OEMを手掛けたりとヘッド生産自体は1963年からと実は長い歴史がある(因みにメーカー名は朝日プラスチック株式会社が由来と思える)。

いかにも日本製と思える、繊細なタッチを柔らかく響かせてくれる点が特徴の一つと言えるヘッドであり、オレの知り合いのドラマーでもASPRを愛用している人間はそれなりに居たりする。

オレはこの20年以上EVANSを愛用してきて、今でも所持しているスネアの殆どはEVANSヘッドを装着している。

ただまァ、信頼のおけるヘッドは間違いないんだが、今回の様にスネアの鳴りで遊びたいと思うと、EVANSは些か食傷気味であったりはするんだよね。
REMOを悪く言うつもりは毛頭ないが、超メジャーで誰もが通っているメーカーを使おうとは今更思わないし(というか、REMOを一通り試してきた経緯あってEVANSユーザーになったんで)、AQUARIANもオレにとっては何か違うと感じてしまった。

じゃあ、今探ってみようかと思わせるのは、もうASPRくらいなものでね。

ASPRは先述した様に、繊細なタッチをやわらかく響かせるという点が特徴の一つとなるので、オーケストラなどビッグバンド系に要求される鳴りとしても充分に応えてくれる。
なので、そこの特性が強調されているが故に、大陸側で生み出されたヘッドと比べるとガッツリ感がイマイチ、などと訝しむ向きも居たりする。

ただ、ASPRのそんなイメージを覆すシリーズが一つ存在するんだよね。
SLシリーズはオレもASPRで好んで使用しているヘッドで、尋常じゃない強度による素材から引き出せる鳴りは、一連のメーカーでは味わえない強烈な一撃を響かせること請け合い。
マーチングドラムで使用されるヘッド並みの強烈な硬度を持つヘッドとしては、ASPRのSLとEVANSのHybridくらいしか、今のところオレは知らない。
好き嫌いは分かれるだろうが、強烈な鳴りが出せるという事実には、試してみた人は皆驚くんじゃなかろうかね。

と、
話が逸れてしまったが、今回装着したヘッド、打面側がS2-HCで、裏側がHC-075Sとなる。

S2シリーズは、ASPRの2PLY仕様ヘッドとなり、その中でLight、Medium、Heavyと3種類の厚さが存在する。
オレが選んだのはHeavyモデルで、簡単に言ってしまえば、低域を含んだ太い音を提供してくれる高耐久ヘッドとなる。
S-075SはLCシリーズに属するスネアサイド。メーカーにはSTシリーズというスタンダードシリーズが存在しているが、LCシリーズに関してが、実際ASPRとしての特性を最も発揮しているシリーズに位置しているんじゃないかとオレは思っていて、繊細で太い響きを引き出すヘッド。

そんな特性を持ったヘッドに加え、スナッピーは今回これを。

PURESOUNDのE-1412。
20本仕様の規格で真ん中のワイアーが無いモデルで、周囲のタイコ類の音に干渉されずスネアの鳴りがくっきり浮かびあがる、所謂ドライサウンドへと貢献するスナッピー。
現在使用する機会の多いスネアの殆どが、このモデルを採用しているくらい、テメェにとって信頼度の高いスナッピーである。

まァ以上の変更をして、いつも通りチューニングのテンションは出来る限り打面側はハイピッチ(裏側もそれなりにハイピッチ)にしていざ叩いてみると、これが思ってもみない鳴りへ。

金属残響を含んだ、ものスゲーカンカンした、いかにも金属スネアですっていうサウンドに。
ティールなのにブラスみたいな高域が利いた感じで、個人的な感触としては1990年代のオルタナティヴ/ラウドロック系で耳にするような、太い芯は存在するが目立つのは中高域のカンッという響きのスネア、とでも言ったらいいのかな。
尤も、今回試したスタジオの部屋が広い場所ではなかったんで、正直なところ低域がどこまで出ているのかはイマイチ把握できず。
6インチの深胴で低域がなくなるなんてのは余程でない限り有り得ないので、次回はもっと広い部屋で鳴らしてみたいところだ。

オレとしちゃ、今回はスネアとして太い丸みのあるコンッという鳴りを想定して変更したつもりだったんだが、まさか全然違う方向に行くとはね。

でも、この鳴り方は嫌いじゃない。アリだと思う。

だからこそ、もうちょっと然るべき音の広がりを感じ取れる場所で叩いて確認したいところだね。

因みに暦の上では明日MEISTERでライヴがあるが、当然ながら使うつもりはない(笑)。
MEISTERでは使うべきスネアというのをちゃんと決めており、メンバーは何を使おうと了承してくれるだろうが、半ば遊びのものをあのバンドで使うっていうのをオレがしたくない。

回数少ないバンドのライヴを、テメェのお遊び場にするつもりはないよ。

ま、ともあれLST146Hは機会を見て今後も変えていこうとは思う。
暫くは、この仕様だな。

涼みもそろそろ終盤か

暑い時期がやっと通り抜けて過ごしやすくなったかと思えば、急な気温降下でまたもやバイオリズムがおかしくなりそうだ(苦笑)。

今年に関しちゃホント、あの暑さは何だったんだよと思ってしまう。
特に先月体調不良に見舞われた身としては苦々しくなる。

ま、そこも通り過ぎて行動しやすくなったこの時季もそろそろ終わっていくかな。

「温もりが静かに地におりる」。
秋ということで、そこを連想させる色合いを使ってみた。
赤、橙は典型的な象徴色だが、空気が澄んで空の青さも対称色として鮮明になるので、そこを色合いとして出してみたかった。

時季としてハロウィンネタにも救われた感はあった。
「南瓜で橙いけるな」と(笑)。

ハロウィンネタでマダム描くのも毎度は飽きてきたんで、今回はこれで良かったかな。

人が変われば当然ながら

今月に入った途端、聴いておきたいバンドのアルバムがケッコーな数出てくるようになった。

とりあえず、その中で特に気になったものを先ずは。

PARADISE LOSTの『ASCENSION』。通算17枚目のアルバム。

先行MVで「SERPENT ON THE CROSS」を視聴して、これまでに増して攻撃的な曲の印象があり、勿論アルバム全般を語っているワケじゃないが「こりゃあ面白そうだな」と。

PARADISE LOSTは、音楽形態としてはゴシックメタルという、暗くもの悲しい旋律を以て、退廃的な世界観を抒情味を含めて描く音楽を演奏している。
ゴシックメタルは本人たちも自負しており、実際このバンドこそがゴシックメタルという音楽形態を具象化させたオリジネイターであり、今も帝王として君臨し続ける存在である。

10数年前は、欧州では特に女性ヴォーカルを前に立てた形でゴシックメタルと称されるバンドがチラホラ出てきた記憶があるんだが、決定的に欠けているものがあるんだよな。

ソレは、ゴシックメタルを標榜するならドゥーム系音楽を通過している必要性があるという事。
大概シンフォニックという言葉を加えたゴシックメタルと呼ばれているバンドはギターの音も洗練されて硬い感じになっているが、ドゥームメタル由来の埃っぽい重みがなかったりする。
加えて絶望的なサウンドでも無い。

PARADISE LOSTのヴォーカルであるニック・ホルムズが以前に「ゴシックメタルに美旋律はない。あるのは退廃と絶望だけだ」みたいな事を語っていた記憶があった気がするが、このジャンルを確立させた本人たちが実際にそういった音楽を表出させているんだから、まァその他のバンドとの差は一聴瞭然ではないかと。
下手するとPARADISE LOSTのみが唯一名乗れる呼称ではないかとも思える(笑)。

事実、このバンドをメロディックであるかと言われれば、そこは首を傾げてしまう。
一般大衆的解釈に基づく楽曲進行ではあるが、耳障りの良い音/旋律ではないんだよね。
だからこそ、暗く沈み込むような悲嘆な雰囲気が強調されているのも事実なワケで。

それだからと言っても、じゃあ色彩が一色しかないなんて言わせない点もこのバンドの懐の深さであって、彼らが蓄積させてきた音楽的素養を様々な暗色で彩る為、曲にバラエティが存在している。

実際、今回のアルバムはその点を如何なく発揮した内容となっていて、ニックの上手いとはお世辞にも言えないが(笑)変幻自在な歌唱を中心に、重く悲しく攻撃的なサウンドを曲ごとに聴かせどころを変えていっている。
今回見事なのはアルバム全体の流れだね。各曲の配分が良く、持続力が落ちそうなところでスピード感を上げてくるバランスが上手い。
特にアルバム終盤の攻撃的な押し方は、ゴシックメタルが単純にスローなことばかり演奏する音楽じゃないという事、結成35年を越える大ヴェテランが未だに衰えていない事を主張している様にも聴こえる。

このバンドって、ドラマー以外は結成時から不変なんだよね。
なので、その時によって聴感の違いを訴えてくるのは実はドラマーの演奏による影響ではないかと。

今回のアルバムではグイード・モンタナリーニという人物がドラムを叩いているんだが、残念ながら彼はこのアルバムリリース前に脱退。
ただ、グイードのドラミングが、このアルバムに影響を与えているのは間違いないかと思うんだよね。

過去に、このバンドにはAT THE GATES、THE HAUNTEDのエイドリアン・アーランドソンやOPETHのワルテリ・ヴァユリュネンといったドラマーが参加してきたが、グイードのドラムは彼ら以上にこのバンドでの演奏に於いては刺激的に感じる。

メンバーがこの点をどう思っているかはさておき、やっぱりバンドっていうのは人間が変わればグルーヴ/アンサンブルに多少の変化が出るのは当然なんだよ。
そこを上手く舵取りを出来る様にしていけるかがバンドメンバーとしての相性なワケで、前任者や前々任者と全く同じものを要求するってのは土台無理な話。

この辺はあんまり語ろうとするとダラダラくだまきそうなんで、今回はもう留めておく。

つまり言いたいのは、今回のPARADISE LOSTの『ASCENSION』は歴代でも最高傑作に入るアルバムだと思うってこと。

確立させる個性

先行MV「CHOSEN」を視聴してから期待は大きかった。

グレン・ヒューズの『CHOSEN』。前作より約9年振りとなるソロアルバム。

ライナーノーツに書かれていた事だが、グレンは今回アルバムは、「ソロアルバムとして最後になるかもしれない」と語っていたようで、それも契約を満了させるためというあまり自発的でない事情が発端となっているとか。

とはいえアルバムの内容はやっつけ感など無い、彼に期待できるハードロックアルバムに仕上がっており、彼の得意としているスタイルの一つであるファンク/ソウル的フレイヴァーはかなり抑えこまれたものとなっている。

遡れば彼はTRAPEZEから歌えるベーシストとしてキャリアは一貫してきているが、いざ自身の音楽を築き上げるとなると、かなり骨太なハード/ヘヴィなロックを表現として好んでいる様に思える。

それはこれまで彼が携わってきたバンドやプロジェクトが証明していると思うし、面白いのは彼の声は1990年代にオルタナティヴロックと呼ばれた様なバンドサウンドの中にあっても、魅力がまったく落ちないどころか、歌唱により凡庸な響きの楽曲すらもギラつかせるんだよね。

まァ勿論曲自体に相応のものがなければ話にならないんだが、個人的にはトニー・アイオミとのプロジェクトIOMMI/HUGHESの『FUSED』は名盤と呼べるほどのマジックを見せてくれたと感じている。

そのプロジェクトの片鱗を覗かせる様な曲も今回は収録されており、先述したように今回のアルバムはある意味ではグレンのソロとしてのキャリアを簡潔ではあるだろうがざっとまとめたものになっているようにも思える。

確か、74歳になるんだっけか。
ロブ・ハルフォードも同じくらいの年齢だったと思うが、2人ともスゲーなと思うよ。

JUDAS PRIESTは去年『INVINCIBLE SHIELD』で未だ衰え知らずなヘヴィメタルの権化である事を表明、今年に入ってからも年齢からくる衰えを見せない貫禄のライヴを見せつけている。

グレンもこれまで、DEEP PURPLE時代の曲をカヴァーするプロジェクトをしつつ、ソロアルバムや様々なバンドに参加したりと活発な音楽活動をしてきていて、激しいとまではいかないが、こちらも年齢的に見て引退とは無縁の活動を続けてきている。

やっぱりね、グレン・ヒューズという個性がすべてを物語っていると思う。
個人的に彼の声に魅力を感じてるってのもあるが、彼の声質/歌唱は「グレンが唄えばどんな音楽でも納得のクオリティになってしまう」という、魅力というか魔力がある。

しかも、ソレは音楽のジャンルっていう枠を超えたところにある。
真に個性を携えた人物は、どんなところに入り込んでも融和し、尚且つ自身の主張どころを失わない強靭さを備えている。

グレンは正にそんな人物。
天性の才覚を尖らせた末に到達した、唯一無二の存在。
演奏が上手い、歌が上手いっていう言葉が陳腐となる、「スゲェ」と思わず言い放ってしまう様な直感的な戦慄を、グレンは持っているとオレは感じる。

歌唱に於ける力強さも声の艶も、衰えているとは感じない。
今回のアルバムがソロ名義として最後になるのかはまだハッキリしているワケではないが、少なくともこのアルバムの内容を聴いて引退時と見る向きは居ないだろう。

叶うなら、あともう一回トニー・アイオミと組んでもらいたい。
この2人なら、また面白いものが生み出せる気がする。

まだお互い存命であるからこそ、実現してくれたら嬉しいね。