先行MV「CHOSEN」を視聴してから期待は大きかった。

グレン・ヒューズの『CHOSEN』。前作より約9年振りとなるソロアルバム。
ライナーノーツに書かれていた事だが、グレンは今回アルバムは、「ソロアルバムとして最後になるかもしれない」と語っていたようで、それも契約を満了させるためというあまり自発的でない事情が発端となっているとか。
とはいえアルバムの内容はやっつけ感など無い、彼に期待できるハードロックアルバムに仕上がっており、彼の得意としているスタイルの一つであるファンク/ソウル的フレイヴァーはかなり抑えこまれたものとなっている。
遡れば彼はTRAPEZEから歌えるベーシストとしてキャリアは一貫してきているが、いざ自身の音楽を築き上げるとなると、かなり骨太なハード/ヘヴィなロックを表現として好んでいる様に思える。
それはこれまで彼が携わってきたバンドやプロジェクトが証明していると思うし、面白いのは彼の声は1990年代にオルタナティヴロックと呼ばれた様なバンドサウンドの中にあっても、魅力がまったく落ちないどころか、歌唱により凡庸な響きの楽曲すらもギラつかせるんだよね。
まァ勿論曲自体に相応のものがなければ話にならないんだが、個人的にはトニー・アイオミとのプロジェクトIOMMI/HUGHESの『FUSED』は名盤と呼べるほどのマジックを見せてくれたと感じている。
そのプロジェクトの片鱗を覗かせる様な曲も今回は収録されており、先述したように今回のアルバムはある意味ではグレンのソロとしてのキャリアを簡潔ではあるだろうがざっとまとめたものになっているようにも思える。
確か、74歳になるんだっけか。
ロブ・ハルフォードも同じくらいの年齢だったと思うが、2人ともスゲーなと思うよ。
JUDAS PRIESTは去年『INVINCIBLE SHIELD』で未だ衰え知らずなヘヴィメタルの権化である事を表明、今年に入ってからも年齢からくる衰えを見せない貫禄のライヴを見せつけている。
グレンもこれまで、DEEP PURPLE時代の曲をカヴァーするプロジェクトをしつつ、ソロアルバムや様々なバンドに参加したりと活発な音楽活動をしてきていて、激しいとまではいかないが、こちらも年齢的に見て引退とは無縁の活動を続けてきている。
やっぱりね、グレン・ヒューズという個性がすべてを物語っていると思う。
個人的に彼の声に魅力を感じてるってのもあるが、彼の声質/歌唱は「グレンが唄えばどんな音楽でも納得のクオリティになってしまう」という、魅力というか魔力がある。
しかも、ソレは音楽のジャンルっていう枠を超えたところにある。
真に個性を携えた人物は、どんなところに入り込んでも融和し、尚且つ自身の主張どころを失わない強靭さを備えている。
グレンは正にそんな人物。
天性の才覚を尖らせた末に到達した、唯一無二の存在。
演奏が上手い、歌が上手いっていう言葉が陳腐となる、「スゲェ」と思わず言い放ってしまう様な直感的な戦慄を、グレンは持っているとオレは感じる。
歌唱に於ける力強さも声の艶も、衰えているとは感じない。
今回のアルバムがソロ名義として最後になるのかはまだハッキリしているワケではないが、少なくともこのアルバムの内容を聴いて引退時と見る向きは居ないだろう。
叶うなら、あともう一回トニー・アイオミと組んでもらいたい。
この2人なら、また面白いものが生み出せる気がする。
まだお互い存命であるからこそ、実現してくれたら嬉しいね。