時間的にそんなに経過していない感じがしたが、それでも前作から2年振りとなるのか。

PRIMAL FEARの『DOMINATION』。通算15枚目のフルアルバム。
今回、注目されたのはメンバーチェンジだろう。
ギター2人、ドラムとバンドの半数が前作『CODE RED』リリースの後に脱退。
特にバンド結成時に参加していたトム・ナウマン(一度脱退しており、再加入の経緯あり)は他のプロジェクトなどをやっている事から、そっちに興味が行ってしまった様な気がしないでもないが、どうなんだろうね。
アレックス・バイロットも長年メンバーとして在籍していただけに、このギター2人が離脱したのはちょっと驚きだった。
まァ、マイケル・エーレは何か可哀そうな感じだな。タイミング的にGAMMA RAYが再始動するって頃合いな気もしていたが、当のカイ・ハンセンが結局HELLOWEENにかかりっきりの状態になっている為、結局GAMMA RAYは相も変わらず開店休業中になってしまってるからな。
で、その後オレが直ぐに情報を耳にしたのは、元RAGEのアンドレ・ヒルガースがドラムの座に就いたという事。
元々SILENT FORCEでも叩いていたという事で日本のリスナーの中では認知されていた人物だと思うが、RAGEを最後に表舞台からは遠ざかっていた感があるだけに、「おお、こいつか」とちょっとした驚きと懐かしさを感じた。
RAGEでの演奏っぷりを知っているので、人選的にも顔なじみが加入した様な感じがあり、問題無いとは思っていた。
ただ、ギターに関しては意外だった。
タリア・ベラゼッカという、まさか女性が加入するとは。
一応、彼女は日本でも人気のあるFROZEN CROWNというメロディックメタルに在籍していたという経歴があるため、何処から来た馬の骨、みたいな感じにはなっていないと思う(ただ、オレは件のバンドの名前は知っているが触れた事がなく、メンバー誰それなどの知識もなかったんでPRIMAL FEAR加入の情報見た瞬間は「?」となってしまったが)。
それであったとしても、まさかPRIMAL FEARの様なバンドに加入するとは、人選的に誰も思わなかったんじゃないかと。
性差別をするつもりなどは無いが、これまで硬派を売りの一つにしてきたバンドに紅一点が入るというのは、やっぱり意表を突かれた思いだ。
ま、そうは言ってもこのバンドのメインソングライターは、マット・シナー、ラルフ・シーパース、マグナス・カールソンの残存メンバーであり、他のメンバーからのインプットもあるかとは思うが、基本はこの3人が主力。
とはいえ今回のメンバー半分の離脱はラルフには堪えた様で、もうバンドは終わるんじゃないかという思いに打ちひしがれていた時期もあったらしい。
それでも、昨年病気から復活したマット、加入してからずっとソングライティングチームとして支えてきているマグナスがまだ居ればと奮起し、続行を決意、そして今回の新メンバーを迎えて『DOMINATION』をリリース。
PRIMAL FEARは、良くも悪くも硬派なヘヴィメタルを一貫するバンドで、アルバムに関しては高品質の曲を提供してはいるが、良くも悪くも振れ幅が狭いってのもあったりする。
オレも一時期その振れ幅の狭さに対して刺激を得られなくなってしまい、10年近くこのバンドは興味の対象から外れていた。
一昨年ちょっとしたきっかけで久方ぶりにこのバンドのカッコよさに触れ、リリースされた『CODE RED』がかつて抱いていたマンネリ感から脱却してきている様に思え、再び好感触を持つようなった。
順風満帆な状態から一転した今回はと言うと、個人的には前作で聴こえていたこのバンドらしい根幹は変わっていないと感じている。
そこは結局のところソングライターチームが依然として残り、ラルフというPRIMAL FEARを象徴する声が存在しているからこそだろう。
強いて言えば、前作よりもメロディックと思わせる曲調が居並び、「TEARS OF FIRE」は唄いまわしなんかSTRATOVARIUSを思い起こさせる。
インストゥルメンタルナンバー「HALLUCINATIONS」はタリアのリードギターをフィーチュアしたもので、そーいった旋律を押し出している点からも、今回のアルバムはメロディックと思わせる雰囲気を強く持たせている。
入手してからケッコー日にち経っているが、2回3回と聴いていくほどに、このアルバム対しての好印象度合が深まっており、最高傑作というまでではないが、前作と比べてもマイナスと思える要素が見当たらないアルバムであるのは確か。
PRIMAL FEARは3rd『NUCLEAR FIRE』でバンドの音楽が完全形成され、その中で一度頂点に到達したのが6th『SEVEN SEALS』だったと思う。
以降は洗練さも現れながら、ジャーマンメタルどころか世界的に見ても、JUDAS PRIESTを範とする正統的ヘヴィメタルとしては屈指の存在として、愚直な音楽を作り出してきていた。
御大ロブ・ハルフォードも今のコンディションは常軌を逸してると言えるが、かねてよりその御大を凌駕しているとまで言われた強靭なハイトーンを今でも駆使できるラルフのヴォーカルはメタルシーンとしての至宝と言える。
そのヴォーカルを生かすべく結成されたPRIMAL FEARは、今のラルフ、マットにとっては失うわけにはいかないバンドであるのは間違いない。
考えたくはないが、この2人のどちらかが離脱となるまで、このバンドはまだ続く筈。
危機を乗り越えたという強さを得て生み出されたアルバム『DOMINATION』は、バンドとファン双方にとって自信を以て傑作と言えるものになっただろうね。